新潟大学工学部 晶析工学研究室

原子力晶析の研究


研究概要


 この研究では、使用済み核燃料廃棄物に含まれるウランとプルトニウムを晶析法により硝酸塩の結晶として分離し、原子力発電用燃料への再利用を試みる研究を行っています。現行の再処理工場では、「溶媒抽出法(PUREX法)」によりウラン成分の分離精製が行われています。この方法では「抽出溶媒」と呼ばれる液体にウラン成分を溶出させて処理しているため、抽出溶媒そのものも汚染されて、それを処理する工程が別途必要になります。抽出溶媒を低減するための対応策として、日本原子力研究開発機構の研究グループが開発を進めている「先進湿式法(NEXT法)」があります。この方法では、溶媒抽出法の代わりに「晶析法」を用いることで、ウラン成分を結晶の中に密に詰め込むことができます。そのため、処理時に汚染される液体の量を低減できます。
 私たちの研究室では、硝酸アルミニウム(ウラン成分の代わり)と硝酸カルシウム(ウラン以外の不純物成分の代わり)からなる混合液体を核燃料の模擬廃棄物とみなし、そこから高純度かつ粒のそろった硝酸アルミニウム結晶を分離回収するための冷却晶析操作法を研究しています[稲葉2021]。これまでに、回収結晶の洗浄工程において、洗浄液を複数回に分割して添加する多段添加操作の有用性を見出しています[神田2021]
(この研究は、放射能の無い物質を代替利用していますので、安全です。)


卒業論文

【卒業論文】神田 麻衣「擬似核燃料廃棄物の洗浄操作に関する化学工学的研究」(2021)

研究業績

【学会発表】稲葉省吾, 三上貴司「硝酸塩系水溶液からの硝酸アルミニウム分離に関する冷却晶析条件の検討」化学工学会新潟大会(2022)学生奨励賞受賞